臨床工学科

臨床工学科について

臨床工学科について

本学の臨床工学科は2012年4月に開設されました。
本学科では医学の基礎となる解剖学、生理学を徹底的に学修し正常な人体の構造と機能を理解します。この基礎医学の知識をベースにして様々な疾患の成り立ちや治療法を学ぶ臨床医学を理解していきます。
同時に、工学の知識と技術を学び医療機器に対する専門知識を修得していきます。
実習室には病院内で使用されている様々な医療機器が用意され、学年を問わず医療機器に触れることができ、いつでも自分の手にとり操作することができます。早期から医療機器に慣れることで、個々の医療機器の特性を知ることができます。
さらに4年間という大学教育の特性を活かし、幅広い教養を身につけ社会人や医療人としての資質を高め、コミュニケーション能力を磨き、臨床工学技士の立場からのチーム医療への関わり方などを学びます。
臨床工学技士はこれからの医療の中でとても重要な役割を担います。
国家資格の取得だけでなく、医療業界をリードして行ける人材の養成を目指します。

臨床工学技士とは

医療技術の進歩に伴い、医療機器の高度化・複雑化も進む一方です。
臨床工学技士は、血液透析装置や人工呼吸器、人工心肺装置など、いのちを守る医療機器(生命維持管理装置)の操作、保守・管理を行う医療機器のスペシャリストです。

社会のニーズ

臨床工学技士制度が誕生したのは1987年と比較的新しいですが、現代医療に不可欠な医療機器を効率的に運用し安全性を確保することでチーム医療を担っており、活躍の場が広がっています。
例えば、心臓手術では人工心肺装置を用いて、手術の間患者さんの心臓の働きを人工心肺装置で代行します。その他にも手術中には様々な医療機器を駆使して手術をしています。これらの医療機器が安全・確実に作動しているか、異常はないか確認するのも臨床工学技士の重要な仕事です。また、異常が起こる前にその予兆を察知する能力も臨床工学技士には要求されます。
時には医療機器について医師や他の医療スタッフから相談を受けることもあり、専門知識とコミュニケーション能力を活かして、チーム医療に貢献しています。
また、腎臓の機能が悪くなった患者さんには血液透析装置を用いた治療を行いますが、週3回1日3~4時間の治療となるため患者さんと直接触れ合う機会が多く、医療機器の操作だけでなく患者さんの状態の変化を敏感に察知し対応することも大切です。患者さんとのコミュニケーション能力と高いスキルで信頼を得ることが重要です。
集中治療室では心臓や肺を始めとした重要臓器と全身の状態を把握するための計測機器や様々な治療機器が用いられ緻密な治療が行われます。呼吸状態の悪い重症な患者さんには人工呼吸器を用いて呼吸補助を行い、循環動態の悪い患者さんには補助循環装置を用いて治療を行います。それぞれの医療機器は患者さんの命と直結しているので、トラブルが起こったときには医療機器を熟知している臨床工学技士の迅速な対応が要求されます。
これらだけではなく、病院全体で医療機器を適正に効率よく運用するため、病院内の医療機器や設備を把握することが重要です。医療機器のあらゆる場面で臨床工学技士が関わり、新たな医療機器の導入から古い医療機器の廃棄の際もアドバイスを行っています。
現在、日本で活躍中の臨床工学技士は約2万人強(※)で、医療の現場で必要とされている数に対して圧倒的に少ないのが現状です。
薬事法、医療法の改正により、医療機関に医療機器を安全に使用し管理する体制を確保するための措置を取ること(臨床工学技士を中心とした機器管理体制の確立)が義務付けられ、臨床工学技士に対する社会のニーズがさらに高まっており、多くの若い人材が必要とされています。

在学生からのメッセージ

臨床工学科 3年
埼玉県 小川高等学校出身

金子 晋吾 くん

臨床工学士をめざすきっかけと、将来像について

私が臨床工学技師を目指したのは医療機器への興味からです。もともと機械工学に興味がありましたが、人体の機能を代行する装置に惹かれ、それを操作・管理する臨床工学技師に憧れました。日本医療科学大学を選んだ理由として、教員に現役の臨床工学技師がいることが選ぶ基準になりました。実際の現場で求められる知識を中心とし、授業によっては心臓手術や、脳手術の映像を見ることもあり、実践的な内容を学ぶことができます。臨床工学科では、医療機器の事以外にも病院の電気設備や、医療ガス配管等についても勉強します。医療機器によっては電波を使うものがあるので電波の勉強もします。

将来、私はチーム医療に基づいた臨床工学技師として、医療機器の教育や新しい技術を用いた機器の発展に貢献できるような医療人を目指します。

履修の流れ・カリキュラム

1年次|1年次 臨床工学の基礎

臨床工学を学修するうえで基礎となる知識、技術を身につける

2年次| 臨床工学の専門基礎

講義や実習を通じて、臨床工学の幅広い専門基礎領域について学ぶ

3年次|臨床工学の専門技術

専門的な学修で、臨床工学のより高度な専門性を高めていく

4年次|臨床工学の発展

臨床実習(6週間)
臨床実習を通じ、医療で活躍できる実践力を身につける

カリキュラム

卒業要件 127単位以上

必修選択合計
基礎教育科目 24単位以上 11単位 13単位以上 24単位以上
専門教育科目
103単位以上
専門基礎科目 42単位 2単位以上 44単位以上
専門科目 53単位 6単位以上 59単位以上

基礎教育科目

科目\単位数 
※( )内は単位数
必修選択
必修科目11単位 選択科目13単位以上  合計24単位以上
人文社会・自然科学
  • 生命倫理学(2)
  • コミュニケーション論(2)
  • 哲学(2)
  • 心理学(2)
  • 教育学(2)
  • 文学(2)
  • 社会学(2)
  • 歴史学(2)
  • 国際関係論(2)
  • 比較文化論(2)
  • 法学(2)
  • 経済学(2)
  • 生物学(2)
  • 物理学(2)
  • 化学(2)
  • 数学(2)
  • 医療保健統計学(2)
  • 国際保健学(2)
基礎演習
  • 情報リテラシー(2)
  • 基礎ゼミ(2)
  • 文章表現演習(2)
  • 体育I(1)
外国語
  • 英語I(基礎英語)(2)
  • 医療英語(1)
  • 英語II(文献購読)(1)
  • 実践英語(2)
  • 中国語(1)

専門基礎科目

科目\単位数 
※( )内は単位数
必修選択
必修科目42単位 選択科目2単位以上  合計44単位以上
人体の構造と機能
  • 解剖生理学Ⅰ(2)
  • 解剖生理学Ⅱ(2)
  • 病理学概論(1)
  • 基礎医学実習(1)
臨床工学に必要な医学的基礎
  • 医学概論(1)
  • 公衆衛生学(1)
  • 臨床生理学(1)
  • 臨床免疫学(1)
  • 臨床生化学(1)
  • 臨床薬理学(1)
  • 臨床心理学(1)
  • 看護学概論(1)
  • チーム医療演習(1)
  • 臨床検査論(2)
  • 細胞生物学(2)
臨床工学に必要な工学的基礎
  • 応用数学(1)
  • 応用数学演習(1)
  • 医用電気工学Ⅰ(1)
  • 医用電気工学Ⅱ(1)
  • 医用電気工学演習(1)
  • 医用電気工学実習(1)
  • 医用電子工学(2)
  • 医用電子工学演習(1)
  • 医用電子工学実習(1)
  • 計測工学(1)
  • 医用材料工学(2)
  • 医用機械工学(2)
  • 医用機械工学演習(1)
  • 医用工学総合演習(2)
  • 基礎工学実験(1)
臨床工学に必要な医学情報技術と
システム工学の基礎
  • 医用情報処理工学(2)
  • 医用情報処理演習(1)
  • システム工学(2)
  • システム・情報処理演習(1)
  • 医用情報通信工学(1)

専門科目

科目\単位数 
※( )内は単位数
必修選択
必修科目53単位 選択科目6単位以上  合計59単位以上
医用生体工学
  • 医用工学概論(1)
  • 医用超音波工学(1)
  • 放射線概論(1)
  • 医用画像処理工学(2)
  • 生体物性工学(2)
  • 人間工学(2)
医用機器学
  • 医用機器学概論(2)
  • 医用治療機器学Ⅰ(2)
  • 医用治療機器学実習(1)
  • 生体計測装置学(2)
  • 生体計測装置学実習(1)
  • 医用治療機器学Ⅱ(2)
生体機能代行技術学
  • 生体機能代行装置学Ⅰ(2)
  • 生体機能代行装置学Ⅱ(2)
  • 生体機能代行装置学実習(1)
  • 血液浄化装置学(2)
  • 血液浄化装置学実習(1)
  • 呼吸療法装置学(2)
  • 呼吸療法装置学実習(1)
  • 体外循環装置学(2)
  • 体外循環装置学実習(1)
医用安全管理学
  • 医用機器安全管理学Ⅰ(2)
  • 医用機器安全管理学Ⅱ(2)
  • 医用機器安全管理学実習(1)
  • 関係法規(1)
  • 医療安全学(2)
関連臨床医学
  • 臨床医学総論Ⅰ(2)
  • 臨床医学総論Ⅱ(2)
  • 臨床医学総論Ⅲ(2)
  • 救急救命医学(2)
臨床実習
  • 臨床実習(4)
卒業研究他
  • 卒業研究(4)
  • 臨床工学総合演習Ⅰ(1)
  • 臨床工学総合演習Ⅱ(1)
  • 臨床工学総合演習Ⅲ(2)
  • 臨床工学系英文講読(2)
  • 臨床工学セミナー(2)

学びの特色と実習内容

学びの特色

医療機器の操作や保守点検だけでなく、医療経済やリスクマネージメント、医療機器の研究・開発など、医療業界をリードしていくことのできる人材の育成を目標としています。

基礎科目では解剖学・生理学などの基礎医学を学び、それらの基礎医学を基に様々な疾患の原因や症状に関する臨床医学を学びます。さらに、疾患の治療や診断に用いる工学技術が人体にどのような影響を及ぼすのか、その効果とともに副作用についても学ぶことで、安全で良質な医療を提供するために必要なスキルを効率よく身につけることができます。

また、大学教育の特性を活かし社会人として、さらには医療人としての資質を高め、コミュニケーション力を磨き、臨床工学技士の立場からチーム医療への関わり方を学びます。

実習内容

臨床工学科の実習例

学内の設備・医療機器を用いた学内実習により、講義で学修した内容と併せてより実践的なスキルを修得します。4年次に実施される臨床実習では臨床における臨床工学技士の位置づけや役割、具体的な業務の流れを理解するとともに、将来医療に携わる臨床工学技士として必要なモラルとマナーを身につけます。


学内実習

血液浄化装置学実習

腎臓の機能を代行する血液透析装置や血液透析に必要な水処理装置などの構造・操作法について実習を行います。また、1日の業務をシミュレートし血液透析の施行法を修得します。

さらに、各種血液浄化療法の施行方法についても実習を行います。

呼吸療法装置学実習

換気機能を代行する人工呼吸器の原理や構造、操作法、保守点検法、安全管理について実習を行います。また、酸素マスクなどの酸素を用いた酸素療法についても実習を行い、呼吸療法全般にわたるスキルを身につけます。

体外循環装置学実習

心臓手術の際に心臓と肺の機能を代行する人工心肺装置や、心不全の際に心臓のポンプ機能を補助するIABPなどの補助循環装置に関する原理や構造、操作法、また保守点検法、安全管理について実習を行います。

医用治療機器学実習

現代の医療では様々な工学技術を応用した治療機器が臨床で応用されています。電気メスや除細動器、ペースメーカ、輸液ポンプなどの治療機器の構造・操作法・性能評価法を工学系科目と関連付けながら実習を行います。

生体計測装置学実習

診断に使用される心電計や脳波計、患者さんの状態(バイタルサイン)をチェックする生体情報モニタ(ベッドサイドモニタ)など、計測に使用される機器の構造・操作法・性能評価法を修得します。

臨床工学科の年次別臨床実習
年次前期後期目的/方法時間
(単位)
4年次 臨床実習   目的:①既習の知識・技術をもとに、臨床工学技士の業務全般にわたる留意事項と具体的な業務について実践できるよう、実際的な場面を通して知識・技術を身につける。
②生命維持管理装置の医用機器や装置について臨床の流れの中で実際の適用とその意味を理解し、臨床工学技士としての実践力を身につける。
③医療の安全管理の重要性と安全確保の実態を知り、安全確保を実践することができる。
④実習体験を通し、将来医療に携わる臨床工学技士としての基本的なモラルとマナーを身につけ、医療者としての行動ができるようにする。

方法:埼玉県内及び近隣の病院に学生40名を振り分け、5週間の実習を行う。
実習の内容は以下のとおり。
①血液浄化装置実習
②集中治療室(人工呼吸器を含む)
③手術室(人工心肺装置を含む)
④医療機器管理業務実習
⑤その他。
180時間(4単位)

取得可能資格

臨床工学技士(国家試験受験資格) 第1種・第2種ME技術者

活躍のステージ

大学病院、国公立・市立病院、総合病院、一般病院、クリニック、医療機器メーカ(サービスエンジニアなど)、学校(臨床工学技士養成校など)、官庁(医療機器・医療機関の審査などの医療行政) など

設備機器

血液浄化システム
血液透析に必要な水処理装置・透析液供給装置をはじめとする、様々な血液浄化療法を行うための装置で、腎臓の機能を代行する生命維持管理装置です。

各種血液浄化装置(血漿交換等)
血漿交換や血漿吸着療法、白血球除去療法などのアフェレーシス療法によって肝臓の機能を代行する生命維持管理装置です。

人工心肺装置
心臓外科手術において心臓を開けなければならない手術(開心術)のとき、一時的に心臓と肺の機能を代行する生命維持管理装置です。

人工呼吸器
換気能力の低下によって炭酸ガスの排出と酸素の取り込みができなくなった場合に換気を代行する生命維持管理装置です。

電気メス
現代の手術では不可欠な医療機器で、高周波電流を流すことで皮膚の切開から生体組織の切開、止血・凝固などに使用される治療機器です。

除細動器
致死的な不整脈(心室細動や心室頻拍など)に対して電気的なショックを与えることで、正常な心拍リズムに戻すための治療機器です。

12誘導心電計
心臓から発する電気信号(心電図)を様々な角度から記録し、心臓の機能を評価・異常の発見をするための計測装置です。

メッセージ

学科長からのメッセージ

医療現場の第一線で活躍してきた教員と充実した設備のなかで、医療機器のスペシャリストを育成します

臨床工学科長

中尾 教伸 教授

 臨床工学技士は、人工呼吸器など生命維持管理装置の操作をはじめ、様々な医療機器の保守管理、病院内の教育活動など業務は幅広く、現在の医療現場ではなくてはならない存在となっています。最近の医用工学・医療技術のめざましい発展に伴い、内視鏡や心臓カテーテルの検査・治療補助といった分野にも業務の範囲が広がっており、今後も益々活躍の場が広がると期待されます。本学科は、医療機器のスペシャリストとして活躍できる人材を育成するため、医療現場の第一線で活躍してきた熱意溢れる教員と、医療機器実習のための充実した設備やカリキュラムを整えています。是非、本学の臨床工学科で学んで夢を叶えていきましょう。